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大津地方裁判所 昭和25年(行)9号 判決

原告 山岡内燃機株式会社

被告 滋賀県地方労働委員会

一、主  文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

二、事  実

原告訴訟代理人は「被告が昭和二十五年七月十二日になした別紙救済命令を取消す。訴訟費用は被告の負担とする」との判決を求め、その請求の原因として、

原告会社は、昭和二十五年一月頃対印度貿易の停頓によつて企業全体の再編制とこれに伴う人員整理の必要を生ずるに至つたので、同月二十九日及び三十日の両日原告会社の社長山岡孫吉と労務担当取締役鍵谷実とが原告会社の長浜工場に赴き、従業員の父兄及び従業員本人等に対して前記会社当面の窮状を説明してその諒解求めるための演説を行つたところ、当時右長浜工場の労働組合員であつた訴外N外六名より右演説の一部が労働組合法第七条第三号に違反するものであるとして被告委員会に不当労働行為救済の申立をなし、被告委員会は右申立に基いて昭和二十五年七月十二日原告会社の社長山岡孫吉に対して別紙記載の如き命令をなし、即日該命令書を交付した。しかしながら該命令には次のような違法の点がある。すなわち、

(一)  本件救済命令の申立人たる訴外N外六名は、昭和二十五年二月二十一日原告会社の人員整理に当つて解雇され、同月二十三日右解雇の予告手当、退職慰労金等を異議なく受領して円満退職した者である。従つて同人等は本件救済命令申立をした昭和二十五年四月十日当時は原告会社の従業員でなく、また右従業員をもつて組織する前記長浜工場の労働組合の組合員でもなかつたのであつて、かかる会社と直接労働法上の雇傭関係もなくまた組合関係もない第三者が不当労働行為の被救済利益を有するわけにはわけない。故に本件申立は申立権なき者からなされたものとして却下せらるべきに拘わらず、被告委員会が右申立を容れ本件救済命令をなしたのは違法である。

(二)  被告委員会は本件救済命令において、山岡孫吉が前記演説中長浜工場の労働組合が連合会へ加入したことを非難して「連合会へ加入したのが悪かつたのだ」との旨強調したことを挙げこれが取消しを命じているが、右は全く事実無根であつて山岡社長がさような言辞を弄したことはない。

(三)  山岡孫吉が右演説において「連合会へ加入した以上大阪と一律に扱わねばならぬ」旨を述べたのは、労働組合法第七条の精神に従つた各単位組合を平等に取扱うという正当な意見の表明にすぎない。長浜工場の労組が個別の単一組合である場合その事実を厳格に尊重しなければならない筋合上個別的に扱わざるを得ないし、連合会に加入すれば事柄の性質によつて一般的総括的取扱いをしなければならない。例えば原告会社の労務管理上においては連合会に加入すれば当然その所管事務として鍵谷本社労務担当取締役の直接取扱いに属することとなり総括的一般的に扱われることになる。「大阪と一律に扱う」とは右の如き自然的に生ずる当然の帰結を説明したにすぎず、何等組合の運営に介入したものでないのに拘わらず、これを不当労働行為と判定したのは違法である。

(四)  労働委員会が不当労働行為による救済命令の申立をうけたときは、中央労働委員会の定める手続規則による審問手続を経て十分なる証拠に基いて事実の認定をし、この認定に基いて申立人の請求にかかる救済を認容し、又は申立を棄却する命令を発しなければならない。然るに被告委員会は前記(二)(三)の事実を認定するに当つて、「双方に速記録なく演説内容を正確に知ることは困難である」としながら、証拠とすることのできない申立書等を証拠として「察知」した想像によりこれを認めているのであつて、右は適法の証拠によらずして事実を認定した違法がある。

(五)  本件救済命令申立人たるN等は前叙の如く右申立当時は勿論それ以前に原告会社の従業員たる地位を失い長浜工場の労働組合員でなくなつた者であるから、かりに山岡孫吉の演説内容が組合の運営に介入したものとして不当労働行為になるとしても、これが救済に当つては、被告委員会において右演説の語句中介入行為と認められる部分を取消す旨の意思表示をすれば足り、またその限度に止まるべきであつて、本件声明書を労働組合と何等関係のない右N等に郵送し、且つN等の在勤しない長浜工場に掲示すべきことを命じたのは救済の範囲を逸脱し、直接救済としての実益を有しない不当不法の命令である。

よつてここに被告委員会の本件救済命令の取消を求めるため本訴に及ぶと陳述し、原告会社の上叙従業員の解雇につきN等が被告主張日時被告委員会に対して不当解雇による救済の申立をなしたことは認めると述べた。(証拠省略)

被告労働委員会代表者は主文と同旨の判決を求め、答弁として、昭和二十五年四月十日訴外N外六名から原告主張の如き不当労働行為救済の申立があり、被告委員会が右申立に基き同年七月十二日別紙の如き救済命令を発し、同日右命令書を原告会社社長山岡孫吉に交付したことは認めるが、右救済命令が違法のものであるという原告の主張は大いにこれを争う。以下その点を詳述する。

(一)  労働組合法第七条第三号の規定は強行規定であつて、公益的見地から当該行為を禁止しているものとみるべきであり、従つて使用者がこれに違反した場合における同法第二十七条第一項の申立は公衆訴追的性格をもつものと解すべく、現行法上これが申立人たり得る者については別段の制限がないのであるから、右の申立は当該労働組合またはその組合員は勿論その他何びとからでもこれをなし得るものである。かりに右申立権者の範囲に何等かの制限ありとしても、右申立人たるN等は本件不当労働行為の被救済利益を有する者として申立権者に含まるべき者である。すなわち、右N等が昭和二十五年二月二十一日原告会社より解雇通知をうけ次で同月二十三日右解雇の予告手当退職慰労金等を原告会社より受取つたことは相違ないけれども、他に生活手段も資力もない同人等がこれを受取つたからといつて直ちに円満退職したものというを得ない。同人等は同年三月二十八日右解雇を不当なりとして被告委員会に対してこれが救済の申立をなし、次で同年四月十日本件不当労働行為についても救済申立に及んだので、被告委員会はこれ等各申立を併合審理の上本件申立については使用者の不当労働行為が余りに明白であつたので同年七月十二日申立人等の申立を認容した命令を発したのである。かくて、N等の不当解雇救済の申立が容れられた場合には同人等は原告会社長浜工場の労働組合員としての地位に復帰するわけであつて、この意味において同人等は本件申立当時において本件不当労働行為についても被救済利益を有していたのであるから、被告委員会が右申立に基いて救済命令をなしたことは毫も違法ではない。

(二)  昭和二十五年一月二十九日長浜工場の従業員父兄会の席上において、また翌三十日右工場の従業員に対して原告会社社長山岡孫吉のなした演説の内容は単に対印度貿易の停頓に伴う原告会社の当面の窮状を報告したにすぎないというようなものではなく、会社現在の経営規模、貿易の状況、企業整備対策等について述べると共に、長浜工場労働組合の全山岡労働組合連合会加入を批判し、右の加入をやめさせることを目的として行われたものである。而して、「連合会に入つた以上大阪と一律に扱う」という右社長の言辞が、長浜工場は大阪方面の工場とその趣を異にし、社長の特志に基いて建設された工場として従来人員整理等につき特別の考慮を払つて来たがすでに連合会に加入した以上右のような特別扱いはできず、他の工場と同様に人員整理を行うという趣旨でなされたものであること及び同社長が右演説中「連合会へ入つたのが悪るかつたのだ」と述べたことは申立書添付の総会議事録中社長演説要旨によつても明かであり、当時人員整理に戦々きようきようたりし同工場の従業員が山岡孫吉の右のような言辞によつて動揺をきたし連合会加入を悔ゆる念を生じよつて連合会を脱退するの挙に出たものであることは、右演説会直後に開かれた組合大会において組合員の一人であるKの動議に基き連合会脱退の決議がなされていることよりみて疑の余地がなく、かかる行為は使用者による組合運営への重大なる介入行為といわねばならない。

(三)  労働委員会が労組法第二十七条による不当労働行為の申立に基いて行う審問手続においては、民事訴訟法におけるが如き厳格な証拠方法によることを要せず、その審問調査にあらわれた全資料に基いて事実を認定すればよく、申立人の申立書の如きも他の資料と対比して真実と認められる限りこれを証拠に採用することはこの種行政手続においては許さるべきである。而して被告委員会は右申立書の外、長浜工場労働組合の総会議事録、社長演説要旨等によつて前敍各事実を認定したものであつて、何等違法はない。「双方に速記録なく正確に演説内容を知ることは困難である」というのは採証の困難なことを述べたにすぎず、証拠のないことを表明したものではない。

(四)  不当労働行為救済制度の目的は労働者の団結権、団体交渉権を使用者の侵害より保護せんとするにあるのであつて、労働委員はその自由裁量により右の法の目的を実現するに最善と考える命令を発し得るものというべきである。而して本件の場合において、原告の長浜工場労働組合に対する介入行為を排除し、組合の自主性を囘復するには、単に山岡孫吉の演説の語句中介入行為と認められる部分の取消しのみでは足らず、別紙の如き内容の声明書を長浜工場に掲げてこれを組合員に周知せしめると共に現在右工場に在らざる申立人等にはこれを郵送して告知する必要があるのであつて、これをもつて、救済の範囲を逸脱した不法の命令というを得ない。

以上の如く本件救済命令には何等違法の点がないから、これが取消を求める原告の本訴請求は失当であると述べた。(証拠省略)

三、理  由

訴外N外六名より被告労働委員会に対して原告主張のような救済命令の申立があり、右申立に基いて被告が昭和二十五年七月十二日原告会社の社長、山岡孫吉に対して別紙の如き救済命令をなし、該命令書が同日右山岡孫吉に送達されたことは当事者間に争がない。

さて右の如く、本件救済命令は原告会社の社長山岡孫吉に対してなされたのに、原告会社よりこれが取消を求める本訴が提起されたのであつて、果して原告会社が右救済命令の取消を求めるにつき正当な当事者としての適格を有するか否かゞ先ず問題となるので、この点につき職権をもつて考えてみよう。

不当労働行為の申立においてその申立の相手方となるべき者が使用者であることは明かである。そして右の使用者が会社である場合にはここにいう使用者とは会社そのものを指し、社長その他の個人が行為者である場合にもその「行為をした者」をいうのではない。而して本件の場合のように行為者たる社長個人が被申立人となりこれに対して救済命令がなされた場合においても、該救済命令はその本来の使用者たる会社に対してなされたものと解するのが相当であり、従つて会社が原告となつてその取消を求める行政訴訟を提起し得るものというべきである。

よつて進んで本件の各争点につき順次判断する。

(一)  不当労働行為について何びとがその救済申立をなし得るかについては労働組合法自体には明かになつていない。しかしながら労組法第二十七条は不当労働行為に対する処罰を定めたものでなく、労働者またはその組合を右の行為から救済することを目的としているものであつて、この点より考えればこれが申立権者は右の救済をうけるについて正当な利害関係――被救済利益――を有する者に限られると解すべきであろう。しかもまた一面この制度が単なる労働者個人に対する権利侵害の救済に止まらず、広く組合活動を保護しその自主性の確保を目的とする公益的性格を有するものなる点からすれば、右の被救済利益はこれを広汎に認めるのが相当であり、特に労組法第七条第三号違反については同条第一号及び第二号の場合に比しその点が強調されて然るべきものと思われる。そこでかかる見地に立つて考えてみるに、本件救済命令の申立人たる訴外N外六名が問題の社長演説のなされた当時長浜工場労働組合の組合員たりし者であり、その後本件申立前に原告会社より解雇せられたが、右解雇を不当として被告委員会に対して不当労働行為の申立に及び、これが審理中さらに本件申立をしたものであることは当事者間に争なきところであるから右N等は前者の申立に対する労働委員会の命令如何によつては、原職復帰の可能性があり、従つて本件申立の当時右組合員の組合員たる地位を確定的に失つてしまつた者とはいい難く、これ等の意味において同人等は本件救済の申立をなすについて正当の利益を有していた者といわざるを得ない。右N等が前記各救済申立の以前に原告会社より解雇の予告手当退職慰労金を受領していることはこれまた争いのないところであるが、これがためその後においてN等より、右解雇を不当労働行為とする救済の申立をなし得ないわけではないから、この点に関する原告の主張はすべて理由なきに帰する。

(二)  次に原告会社の社長山岡孫吉が昭和二十五年一月二十九日及びその翌三十日に原告会社長浜工場の従業員及びその父兄等に対して会社の企業再編制とこれに伴う人員整理の必要に関してこれが諒解を求めるための演説をなし、その際右従業員及び父兄等に向つて長浜工場の従業員をもつて組織する右工場の労働組合が全山岡労働組合連合会へ加入したことに言及し「連合会へ入つた以上大阪と一律に扱わねばならない」旨を述べたことは当事者間に争なく、なお同社長が右三十日の従業員に対する演説を終えて降壇するに際し、「連合会へ入つたのが悪かつたのだ」との趣旨を述べた事実は証人aの証言によつて認めることができる。そこで右の如き山岡孫吉の言辞が前記長浜工場労働組合の運営に介入したものとして労組法第七条第三号違反の不当労働行為になるか否かについて考えてみるに、成立に争なき乙第七号証、乙第十号証、証人a同bの証言及び右aの証言に徴して真正に成立したものと認める乙第一号証の二を綜合すれば、山岡孫吉は前記演説において長浜工場の労働組合が昭和二十四年十二月末頃全山岡労働組合連合会へ加入したことを批判し、同工場は元来同人が郷土愛の精神に基いて設立したものであつて、従業員及びその父兄と一致協力してこれが運営を計る念願であつたが、一部の者の煽動により社長の意思に反して連合会へ加入するに至つたのは遺憾であるとてこれを非難し、従来長浜工場は上敍設立の特殊事情からして特に社長の直接指揮の下に置かれ大阪方面の他の工場とは別個に扱つて来たのであつて、大阪方面においてどのような人員整理が行われようとも長浜工場だけは何とか守り抜きたいと考えていたが連合会へ加入し大阪と結束するに至つた以上、従前通りに長浜工場だけを特別に遇することはできなくなつたという趣旨を述べこの意味において「連合会へ加入した以上大阪と一律に扱う」との言辞を用いたものであること、かくて今囘の企業再編制に当り長浜工場の従業員が大阪の工場と同様の人員整理を受けてもそれは連合会へ加入したことの結果に外ならないのであつて、要するに「連合会へ加入したのが悪かつたのだ」との結論を下したものであること、並びに山岡社長の前記演説終了直後、組合の今後の動向を決するための総会が開かれ、その上席北川忠雄より連合会脱退の議決に関する動議の提出があり、さしたる意見の交換もなくして、絶対多数をもつてその場で連合会より脱退することの決議がなされたことが認められるところであつて、原告の提出援用にかかる各証拠によるも右認定を左右するに足りない。而して右の如き山岡孫吉の言辞は馘首をもつて組合員を威嚇し、これを恐れた組合員をしてついに連合会より脱退するの挙に出でしめたものであつて、単なる組合の運営への介入に止まらず、これを支配した行為というべく、労組法第七条第三号に違背せる不当労働行為たることは明かだといわねばならない。

(三)  なお原告は、被告委員会が前記不当労働行為の認定に当つて、証拠とすることのできない申立書を資料とし、漠然と察知した想像によつてこれを認めているのは違法であると主張するけれども、労働委員会はその調査審問によつて得た証拠その他の資料に基いて事実を認定し、この認定に基いて申立人の請求にかかる救済を認容し又はその申立を棄却するのであつて、民事裁判の判決におけるが如き厳格な証拠説明を要求されるものではないから、その認定事実に誤りさえなければ証拠説明に不十分の点があつてもこれをもつて救済命令を違法とする必要はなく、しかも被告委員会が右申立書の外申立等より提出の社長演説記録被申立人より提出の社長演説要旨の資料によつて事実を認定したものであることは甲第一号証の命令書の記載によつて明かであるから原告の右主張は理由がない。

(四)  次に本件救済命令の内容の当否の点であるが、そもそも不当労働行為救済制度の目的は、できるだけ不当労働行為がなかつたと同じ状態を再現するにあり、その実質はあくまで行政処分なのであるから、労働委員会はその裁量によつて行為の停止はもとより、当該不当労働行為なかりし以前の原状囘復を命じ、または委員会の命令を工場事業場内の一定の場所に掲示せしめて同様の不当労働行為の将来における反覆の危険を防止するなど個々の具体的事件に即してこれが救済を実現するために必要であり妥当と思料する一切の処分を命じ得るものというべきである。而して被告が原告会社の社長山岡孫吉に対して本件の如き内容の声明書を長浜工場の掲示場に掲示すべきことを命じたのは、上叙の意味において、本件不当労働行為に対する救済を実現するための処分として適切妥当のものというべく、また申立人たる訴外N等に対してこれが郵送を命じたことも、同人等が本件不当労働行為のなされた当時における組合員であり、本件救済命令の申立人である点に鑑みるときは救済方法として範囲を著しく逸脱し、何等その実益なき不法の処分とまではいい得ないので、この点に関する原告の主張もまた排斥を免れない。

以上説明するところのごとく被告委員会の本件命令には少しも違法の点がないのでこれが取消を求める原告の本訴請求を理由なしとして棄却すべきものとし訴訟費用の負担について民事訴訟法第八十九条を適用し主文のとおり判決する。

(裁判官 小石寿夫 八塚英一 日高敏夫)

(別紙)

命令書

申立人 N 外六名

被申立人 山岡内燃機株式会社

右当事者間の昭和二十五年滋不第四号不当労働行為申立事件につき滋賀県地方労働委員会は公益委員竹内角左衛門、平田諦善、大谷孝太郎、松好貞夫、西村関一各委員出席し合議の結果右全委員一致の決議を以て左の通り決定する。

主文

本委員会は被申立人に対し左の通り命令する。

一、被申立人は左記文章を標準規格B列四番用紙に明瞭に謄写刷りとなし、組合員であつた者にして解雇された者に本命令交付後一週間以内に郵送しなければならない。

二、被申立人は左記文章を標準規格B列〇番用紙に墨汁にて明瞭に記し滋賀県長浜市船山町六九番地所在、山岡内燃機株式会社長浜工場正門横の掲示板に、本命令交付後一週間以内に掲示の日より向う一週間掲示しなければならない。

声明書

昭和二十五年一月二十九日竝に三十日長浜市公民クラブに於て父兄及び全従業員諸子に対し私がなした演説内容の一部は労働組合法第七条第三号違反であるとN氏外六名が滋賀県地方労働委員会に申立をされその結果正当な労働組合の活動に対する介入であると同地方労働委員会より命令がありましたので同演説内容の一部をここに取消致します。

同演説中私は皆さんの前で「連合会へ入つたから大阪と同様に扱わねばならぬ」「連合会へ入つたのが悪るかつたのだ」との旨強調致しました。労働組合がその大会の決議により上級団体に加入することは全く当然であり会社としては介入すべき筋合のものでないにも拘わらず会社の整理方針開陳の際における私のこの言辞は組合員の心理に強く影響して組合を連合会脱退に導いたものと思われます。この私の言辞は結果的に組合運営に対する介入であつたことを認め茲に右言辞を取消します。本日のこの取消声明に併せて今後長浜工場における組合活動の自主性を尊重することを確認致します。

昭和二十五年 月 日

山岡内燃機株式会社 社長 山岡孫吉

従業員各位殿

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